この記事には「52系統(立命館大学前-四条烏丸)は2018年に21年ぶりに再登場した。ルートは以前と異なるが、主要経路が似ている(京都市交通局)」と書かれています。
なぜ、52系統を再登場させたのか?
京都市交通局の平成29年度の京都市交通事業白書には、次のように書かれています。
(ウ)系統の新設
平成30年3月17日
上京区仁和学区における市バス利用の機運の高まりを受け、学区内の七本松通を経由し、立命館大学と二条駅や四条烏丸とを結ぶ系統の試行運行を開始しました。
ここで不思議なのは、なぜ立命館大学が出てくるのでしょうか?その根拠は何なんでしょうか?京都市交通局の資料やお知らせは、いつもそこが不明瞭なのです。だから「仁和学区における市バス利用の機運の高まりを受け」という曖昧な表現は詭弁で、実は立命館大学の朱雀キャンパスと衣笠キャンパスを結ぶための路線を増やすよう立命館大学側から言われたからだと思われても仕方がないのです。
もし「仁和学区における市バス利用の機運の高まりを受け」という説明が詭弁でなければ、地域主体のMM(モビリティ・マネジメント)路線の開発であるならば、そのエリアだけを循環させるルートになぜしないのか疑問です。なぜ、立命館大学まで運行する必要があるのでしょうか。
資料を探し推察すればわかります。平成22年10月18日の西陣デマンド交通の住民ニーズ調査と実施計画策定という資料に、「仁和学区の住民数は2200人」とあります。仁和学区は、市バスがよく通行する今出川通や千本通、丸太町通が近いエリアです。「蘆山寺通」よりも狭い裏通りの「七本松通」に路線バスのニーズなどあるわけがないです。現代はインターネットや大型量販店の時代です。古い小売店ばかりの商店街には買物客は来ません。消滅して行くだけです。京都市交通局は、何を基準に路線バスのルート選択をしているのでしょうか?何度も書きますが、権力に影響されて決めていると思います。
そこで、その根拠となる資料を見つけました。
「スローライフ京都」大作戦により「歩くまち・京都」を実現 地域や大学等と連携し、モビリティマネジメントに取り組みます!(都市計画局 歩くまち京都推進室)
https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/page/0000089929.html
https://www.city.kyoto.lg.jp/tokei/cmsfiles/contents/0000089/89929/kouhoukekka.pdf
この資料を見ると、京都市交通局が重点的に市バスの便数を増やしているエリアがわかります。恐ろしいことに、京都市がその事業毎に支援金(血税)を出しているのです。立命館大学に400万円も出しています。西陣デマンド交通を考える会には83万8千円です。活動内容はアンケート収集と資料作成です。最初から答えが出ている事(市バスの増便)に数百万円も税金を投入する京都市の無駄使いには呆れます。何か変です。京都市が時代に遅れているのか、日本が世界から取り残されているのか。おそらく両方です。
京都市バスの運営目的は既に公営企業の領域を超えてしまっています。民間のタクシー会社と同じで、どれだけ客を拾うかという観点で捉えています。市民の住環境の破壊、つまり騒音や排気ガス(CO2)、道路の路面の傷みなど全く考慮せず、ひたすら売上だけに固執しているのです。恐ろしい末期状態です。
以前のブログで、京都市バスは立命館大学行きの号系統がなぜ多いのか?について書きましたが、もう一歩踏み込んで考えると、立命館大学を始終点、もしくは通過する路線バスの半分以上が立命館大学の関連施設を必ず経由しているのです。立命館大学からお金をもらっているのでしょうか?官民癒着があるのでしょうか?
15系系統(立命館 衣笠キャンパス、立命館 朱雀キャンパス)
52号系統(立命館 衣笠キャンパス、立命館 朱雀キャンパス)
55号系統(立命館 衣笠キャンパス、立命館 朱雀キャンパス)
59号系統(立命館 衣笠キャンパス、立命館大学インターナショナルハウス宇多野)
M1号系統(西園寺記念館衣笠セミナーハウス、第二尚友館、第三尚友館、原谷グラウンド、原谷サッカーグラウンド、立命館小学校<北大路バスターミナル>)
急行102系統(国際平和ミュージアム、孔子学院※表向きは国際平和ミュージアム、米国では中国公館として認定)
快速立命館(立命館 衣笠キャンパス、国際平和ミュージアム、孔子学院)
立命館ダイレクト(立命館 衣笠キャンパス、国際平和ミュージアム、孔子学院)
臨時バス 西大路四条発 府立体育館前《島津アリーナ京都前》経由 立命館大学行き
(立命館大学インターナショナルハウス大将軍、国際平和ミュージアム、
西日本JRバス(立命館大学の関連施設及び産学連携)
高尾京北線(立命館 衣笠キャンパス、立命館大学インターナショナルハウス宇多野、京北プロジェクト)
立命ライナー(立命館 衣笠キャンパス、立命館 朱雀キャンパス)
このように路線バスを羅列すると、いかに立命館大学行きが多く、しかも京都市バスとJRバスが同じ路線を重複して運行しているかがわかります。52号系統などは「仁和学区における市バス利用の機運の高まりを受け」という理由付けなら、わざわざ立命館大学を経由しなくても、千本通や今出川、堀川通、丸太町を循環させていればいいのに、立命館大学を始終点にしています。これは立命館大学という権力者に京都市バスが利用されているからです。門川市長は「市民の足を守るため」と言っていますが、実際は観光客(神社仏閣送迎)と立命館大学の学生も含めた教職員の足を守るためです。京都市民が頻繁に立命館大学に行くようなことなどありません。
歴代の京都市長は、立命館大学から多額の政治献金をもらっているのでしょうか?その見返りとして、市バスやJRバスを立命館大学を経由するように便宜を図っているのでしょうか?権力を握ると何でもできます。
市バスの路線数が少ない嵐山や山科のような地区へ、京都市内に偏った市バスを系統整理して割り振るようなことは京都市交通局はしません。なぜなら、京都市バスの半分以上は赤字路線です。それでも立命館大学など一部の権力者を優先するような路線配分、さらに偏向的な路線の系統数を減らさないどころか増やしているからです。
そこには、公平さというものが微塵も感じられません。何度も書きますが、地方公共機関が市民のためではなく、一部の権力者や利益によって動かされているような状態では民主主義は終わりです。
京都市交通局は、不採算路線の排除もせず、立命館大学行きの系統数や便数を増やしていると、そのうち取り返しがつかない状態になります。京都市交通局の市バス事業は、規模の縮小と固定費(人件費+経費)の削減をしないと近い将来に破綻すると思います。
その証拠に「京都市交通局の資料で、京都市バスの現状を調べました!」のブログで書きましたが、立命館大学行きに関しては、ここ数年に新規路線となった号系統が赤字路線なのです。つまり、事業性がないのです。昔からある号系統のみ黒字です。京都市交通局がいかに税金の無駄遣いをしているかがわかります。市バス車両は、市民からの借金(地方債)で購入しているわけです。一台2千万円以上します。818台も所有しています。恐ろしい数です。