読売新聞の記事に、さり気無く重大な事実が隠れていました。それは京都市交通局の市バス運転手に対する労働基準法36条違反です。記事の中に「休暇取得率約100%」とは裏腹に「勤務状況によっては1000万円近い年収も可能」と書いてあります。路線バス運転手の給与体系を京都市交通局も見直した結果、年収1000万円の運転手はいませんと題材的に「まぢピンチ」というPR広告を打ち出していました。それが突如、変更され年収1000万円も可能と京都市交通局は言っています。これは明らかに、2024年問題で運送業の運転手の長時間労働を是正する働き方改革関連法案が施行されたにも拘わらず、市バス運転手の時間外労働や休日返上勤務をさせている事が見て取れます。京都市長は実態を知っているのでしょうか?
1年前の朝日新聞の記事には、大阪シティバスが労働基準法36条、いわゆる「36(サブロク)協定」違反で労働基準監督署に自ら届け出をしています。路線バス運転手の過剰勤務を重く見ているのです。過労による事故発生です。それに引き換え京都市交通局は、36協定違反をしていても公表もしていません。逆に京都新聞などの記事で、オーバーツーリズムで市バス運転手が休日返上していますと誇らしげに言っていたことを思い出します。つまり、年収500万円の運転手が1000万円になるという事は、少なくとも倍以上働かないといけません。それは確実に過剰勤務をしているわけです。
読売新聞の記事の中で、京都市交通局の局長は「このまま人員不足が続けば市バスの現行の路線・ダイヤを維持することが難しくなることから市バス運転士不足の非常事態宣言を発出した」とあります。また「決して宣言はバスの減便ありきのものではない。まずは交通局の現状や経営状況を知ってもらいたい」とあります。しかし、市バスの減便は絶対にしないと豪語していました。この局長は、根っからの交通局通ではありません。日本の大臣と同じで、素人がなっているのです。その時良かれな事をいうわけです。民間路線バス会社の給料が安く、公務員ドライバーの給料が高い、その差額をせしめて京都市交通局は市バスの民間運行委託をしています。それはコスト削減が目的です。今回は公務員ドライバーの給料が高い事を利用して、年収1000万円という高収入を歌い文句にして若者を騙して採用しようとする姿勢、これこそが公務員天国という日本独自の悪しき社会主義体制です。決して民主主義の同一労働・同一賃金という公平な発想を無視する考え方なのです。
今年、京都市交通局で不祥事がありました。市営地下鉄無賃乗車で京都市交通局の職員2人が懲戒免職処分された件です。この時、局長が記者会見せず、中間管理職にさせていました。これを見た時に、今の京都市交通局の局長の姿勢が見て取れました。己の出世にマイナスになるような事には関与しないということです。日本の役人や官僚はサラリーマン、決して市民や国民のためには仕事をしていません。それが如実に表れた出来事です。
京都市は財政破綻寸前の自治体です。そんな自治体が地下鉄環状線なんて掘れるわけもなく、ましてや北陸新幹線延伸の小浜ルートで京都市内に地下鉄道を掘る予算なんて負担できるわけがありません。市バスを800台走らせる事が精一杯なわけです。その結果、騒音排気ガス公害が京都市内で発生しているにも関わらず、京都市議会議員は誰一人訴える人間はおらず、訴えれば白足袋族の権力で落選させられる不始末です。村社会政治とは、中世時代のままです。村八分が存在する限り、民主主義は日本では根付きません。政治家が、官僚が、権力者の顔色を見て忖度したり、おもねる社会は国ではなく村です。その証拠に京都市上空には毎日のように米軍機が飛び交っています。そんな事にも無関心な市民、お粗末な植民地です。テレビで他国の国会と日本の国会をよく見較べると、いかに日本が村であるかよくわかります。