大型バスがよく高速道路で炎上します。なぜ、こうなるのでしょうか?毎年二、三十件の炎上事故があるようです。この原因は何なのでしょうか?
今年の3月23日に起きた大型貸切バス炎上は、東名高速道路のサービスエリア付近で起きました。もうひとつの大型観光バス炎上は2015年12月28日に東京の池袋の路上です。走行中ではなく停車してから燃え上がったのです。
大型貸切バスの炎上記事をよく読むと、「走行中に後ろの方から爆発音がしてびっくりした」「走行中のバス後部から煙が上がっているのを、後続のもう一台のバス運転手が気付き連絡。連絡を受けたバスの運転手は、異音を感じたため路肩に停車した。その後に炎上した」とあります。さらに、バス運行会社によると「バスは三菱ふそうトラック・バス社製で2019年9月に購入。今月に法定点検を受けたばかりだった。運行ごとにライトやオイル漏れなどの点検をしており、この日も始業前の点検では異常はなかった」ということです。そして、発車してから三、四十分ほどで炎上したということです。バス運行会社の社長は「整備はきっちりやっており、原因は正直分からない」と話したそうです。
もうひとつの炎上事故である東京池袋の大型観光バスは、ニュースの中で「後部座席の天井の蛍光灯の付近から燃え出した」と言っています。電気設備の配線ショートが原因です。大型二種免許を持っている人はご存じだと思いますが、大型バスは電気系統のメインスイッチがあり、エンジンスターターはメインスイッチが入っていないとエンジンはかかりません。
京都市バスにも言えますが、路線バスの車内にいろいろな電気製品(液晶モニタなど)を装備すると、エンジンは問題なくても、装備品の後付け電気配線が劣化してショートし炎上する可能性があるわけです。この部分については、エンジンの車両整備士の範疇を超えています。しかし、これが原因で炎上事故が起きているわけです。税金の無駄使いが人命を危険にさらす場合があるのです。
京都市交通局は、この事を知っているのでしょうか?知らないと思います。なぜなら、知らないから市バスの内装を豪華絢爛にするために色々と無駄な物にお金(税金)をつぎ込んでいるのです。しかし、これによって路線バスの中に電気配線が増えるわけです。不必要な物を付けない事が一番の炎上事故防止策です。京阪バスや京都バスは、この事をよく知っています。なぜなら、観光バスも運営しているので、大型バスの盲点をよく知っているのです。
国土交通省では、大型バス炎上の原因は、整備作業ミスの他、エンジンルーム内に置いたウエス等への着火、サイドブレーキ戻し不足といったミスがあるほか、適切な整備をしていない事を挙げています。また、リコール等の対象となっている不具合もあるということです。出火に至る状況では、ショート等の電気関係の不具合、燃料漏れ、ブレーキ、タイヤの加熱が目立ち、出火箇所はエンジン付近が多いということです。また、車齢別に一万台当たり発生件数を見ると、車齢の高い車両の方が発生件数が多い傾向があるという事です。国土交通省は、古い大型バスほど炎上事故が発生しやすいと言っています。しかし、今回の大型貸切バス炎上は、車両も古くなく、整備もされている状況で起きています。という事は何が原因なのか。ひとつ参考になるのは「走行中に後ろの方から爆発音がして、びっくりした」と記事に書かれている点です。 観光バスも路線バスも燃料タンクの位置は、新型の場合は左右どちらかの前輪の上または横にあります。旧型、古い大型バスは後部にあったのです。しかし、電気配線が集中する部分は新型でも後部にあります。よく路線バスで後部座席に乗客が集中して座っています。コロナ禍で運転手から風邪を移されないように警戒して後部座席に座っているのでしょう。実は、バス炎上事故の出火箇所でもあります。
「蘆山寺通」を通過する路線バスを見ていると、特に京都市バスの車両でエンジン音が異常にうるさい車両があります。騒音公害です。そして、もっとよく見ると、古い車両ほど、外観の塗装や方向幕がLED表示になっていたりと新しくしているのです。これは、見栄えを良く見せようとしているのですが、問題の古いエンジンを酷使していると、その内、炎上するかもしれません。国土交通省が言っている通り、車齢の高い車両の方が、炎上事故の発生件数は多い傾向があるのです。
このブログでも書いていましたが、京都市交通局の恣意的な市バスの経路変更を始めた頃、よく「蘆山寺通」で市バスが夏場にオーバーヒートして、道路のど真ん中で停車していました。二度ほど連日見ました。ここ最近は、古い車両を「蘆山寺通」に走らせないようにしているのかどうかわかりませんが、オーバーヒートで停車しているのは見ませんが、エンジン音の大きい、うるさい市バスは相変わらず走っています。このために市バスは渋滞中のアイドリングストップをしないのかもしれません。つまり、運転手はエンジンがオーバーヒートぎみで再始動しなくなることを恐れているのです。おそらく、京都市交通局の800台以上もある保有車両は、全体的に古いと思います。西日本JRバスや立命館大学のシャトルバス(ヤサカ観光バス)の方が明らかにエンジン音が静かです。
路線バスと観光バス(貸切バスも含めて)には違いがたくさんありますが、運用上の違いは、路線バスは毎日使用されますが、観光バスは休んでいる時もあるということです。特にコロナ禍では、遊んでいる大型バス車両が多いはずです。機械類は、たまに動かすと潰れやすいと言います。毎日、動かす方が壊れにくいという事です。これは、大型バスにも言えるかもしれません。もしかすると記事の炎上した大型バスは、あまり使用されていなかった車両かもしれません。電気配線は使わなくても劣化します。ましてや屋外で振動があると劣化が早いです。
日本では路線バスの炎上はあまり見聞きしませんが、海外、特にイタリアでは路線バスの炎上事故が連続した時期があったようです。イタリヤのローマの路線バスは、故障が非常に多いのです。大型バスの炎上事故は車齢ではなく、どうも整備不良に関係している可能性があります。整備士の質が問われると思います。これは、旅客機にも言えますが、墜落原因のほとんどが整備不良なのです。蘆山寺通で、市バスの炎上火災が起きない事を祈ります。お金が無いからと言って、整備士が不足しているからと言って、あまり古いバスは使わない方がいいです。人命が第一です。こんな事が起きないとも限りません。