前回のブログに引き続き、2021年1月23日付の京都市交通局の市バス新ダイヤを見て、腑に落ちない点がもう一箇所ありました。
https://www.city.kyoto.lg.jp/kotsu/page/0000279907.html
https://www.city.kyoto.lg.jp/kotsu/cmsfiles/contents/0000279/279907/bessi.pdf
1 市バス新ダイヤ
(1)実施内容
<省略>
イ 西日本ジェイアールバスと連携した取組の推進
(ア)高雄地域における利便性向上に向けた取組
・ 均一運賃区間の拡大
高雄地域(福王子以北)から京都駅・四条駅までの運賃(現行160円~530円)を市バス・西日本ジェイアールバス(以下「JRバス」という。) 双方で230円の均一運賃とするとともに,「バス一日券」や「市内中心フリー」定期券の利用範囲を高雄地域に拡大します。
・ 8号系統の延伸等
市バス8号系統を栂ノ尾まで延伸することと併せ,市バスとJRバスとで等間隔なダイヤとするほか,福王子停留所以北で異なる停留所名称を統一します。
なぜ、西日本JRバスが走っている周山街道に市バスが入ろうとするのか?
高雄などは秋の紅葉シーズン以外は人が行かない場所です。昔から京北町まで西日本JRバスが運行しています。山奥の京北町が右京区になったからと言って、路線バスのニーズが増えることはありません。コロナ禍前から、いつも西日本JRバスの高雄京北線のバスの中には、ほとんど乗客がいません。
もともと京北町や美山町は山奥の山奥で、とても不便な場所です。京都市が大金をかけてトンネルをいくつも掘り、市内から車で30分程でアクセスできるようにしましたが、左京区の大原と同じで山里なのです。いくつも山を越えないと京都市街には出て来れないのです。そして何と言っても気候(標高が高い)が違います。冬には雪が積もるほどよく降り、路面が凍結します。台風や大雨の時期には、土砂崩れが起き道路が不通になります。なにかの本で「京北町ゴルフ場開発」に関する事を読んだことがあります。裏千家などが関わっていたそうです。結局、開発されなかったようですが、闇はありそうです。
とにかく周山街道の国道162号線はダンプや木材を運ぶトラックが走っていますので、市街の一般道路とは違います。ガードレールの向こうは崖です。そこに市バスが割り込んで「蘆山寺通」と同様に、周山街道を路線バスの過剰運行にすると大事故が起きます。その事を京都市交通局は留意しないと取り返しがつかない事になります。日本人の従順でおとなしい運転手の事故が心配です。
京都市交通局がしていることは、山科の京阪バスの赤字廃止路線に市バスを走らせようとしたり、高雄地域に西日本JRバスと一緒に市バスを走らせようとしたり、「蘆山寺通」にしても、立命館大学に西日本JRバスが通過しているのに、快速立命館という号系統をつくって市バスを走らせ、路線バスの過剰運行を助長しています。
なぜ、高雄地域における市バスとJRバスとの等間隔なダイヤのように立命館大学行きの直行路線バスである「快速立命」と「立命ライナー」にも、最初から双方で話し合いで決めなかったのか不思議です。そこには、沿線住民への配慮がまったくない京都市交通局の姿勢があります。西日本JRバスとライバル関係なのに、都合が良い時にだけ「連携した取組の推進」という美しい表現を使っているとしか思えないのです。※後になってわかってきましたが、実は高雄や京北町に向かう市バスは西日本ジェイアールバスに運行委託されているのです。
京都市交通局は、ひとが並んでいる列に横から入ろうとする人間と同じような事を平気でします。そんなにしてまで売上(旅客収入)が欲しいのでしょう。京都市が財政破綻寸前だからと言って、なり振り構わず、そんな事をしていると市民から足元をすくわれると思います。「鷹は飢えても穂を摘まず」という諺を京都市交通局は知らないのでしょうか。もっとアイデアを出して、斬新で効率的な路線を開発するなど、そちらに集中するべきです。市バスは重複路線が多過ぎるのです。路線の整理が重要なのです。
前回のブログで書きました立命館大学の交通アクセス改善のヒントは、「馬代通」と「東門」です。そして「西大路通」です。立命館大学の教職員や学生をもっと歩くようにさせればいいのです。これは、金閣寺前の「木辻通」を観光客に歩かさせようとする取組み(石畳歩道工事)と同じです。市民にとって便利な路線バスを追求すれば、それだけ市バスの赤字が増えます。なぜなら、ひとが歩いていない道路にも市バスを走らせないといけないからです。民間バス会社は、そんな損するような事は絶対にしません。なぜなら、そんな事をしていたら会社が潰れるからです。
アイデアは、現場を知るといくつも浮かんできます。机上の空論と言われるように、部屋にこもって机に座って部下に指示するだけでは素晴らしいアイデアは浮かんできません。アンケートを回収して市場調査するよりも、実際に現場で情報収集する方が確実な分析ができます。アンケートはあくまでも理想であって現実ではありません。