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京都市交通局は、市バス車両をセールアンドリースバック契約に切り替えています。大丈夫ですか?

京都市交通局の7月27日のお知らせに「株式会社リアライズコーポレーションによる市長表敬訪問等について」という記事がありました。その中に資料が添付され、それをよく読むと、今年4月に株式会社リアライズコーポレーションと市バス車両のリース契約を締結しましたとあります。リースによる車両調達を公営バス事業者として初めて「セールアンドリースバック方式」という契約方式で締結したと書かれています。

 

問題は、通常のリース契約ではなく、なぜ「セールアンドリースバック方式」なのかということです。

 

セールアンドリースバック方式について
京都市交通局保有の車両を株式会社リアライズコーポレーションに売却し、リース料を支払い、バス車両を借り受けるもので、これにより手元資金を確保したうえでバス車両を使用できると共に、車両調達に係る単年度当たりの費用負担を平準化が図れるものです」と書かれています。

 

 つまり、京都市交通局がこれまで買った市バス車両を、株式会社リアライズコーポレーションに一旦売却し、改めてその車両をリース契約で京都市交通局が使用するということです。通常のリース契約と違うところは、京都市交通局が現在所有する市バス車両の売買代金(中古車売却代金)を京都市交通局が一旦手にすることができ、しかもこの会社に売却した市バス車両は毎月のリース料金で今まで通り使用することができるという金融システムだと思います。新車の車両購入をリース契約するのなら、わざわざリースバック方式にはしないはずです。この部分を以下で説明します。

 

この契約方法は自宅を売却するリースバック方式とよく似たシステムだと思います。自宅を売ってまとまった資金が手に入り、家賃を払う必要はありますが、自宅に住み続けることができるというものです。もうひとつ、リバースモーゲージという銀行との契約があります。これは不動産の所有権は譲渡せず、契約の不動産を担保に融資を受けることができるシステム(不動産担保ローン)です。市バスは動産なので、担保にはできませんから、銀行ではお金を借りることはできません。しかし、銀行の融資以外で動産を担保にお金を融通することができるのです。

 

老後資金が足りないので、家を一旦リース会社に売ってそのまま家賃を払って住み続けるという契約、元々米国発です。航空機でも言えますが、一機何百億円もする旅客機を航空会社が買取っていたら、資金はすぐに底をつき破産します。そのために協調融資(シンジケート・ローン)もしくは航空機リース契約で導入コストを抑えて、資金繰りを良くしているのです。

 

乗用車で言えば、カーリース(オートリース)という新車を購入する時にローン契約ではなく、リース契約で車を借りるシステムがあります。新車購入時に頭金などまとまった資金がなくても車を購入できます。しかし、所有権は、あくまでもリース会社にあります。購入者は使用権だけです。この方式の契約は、一見するとローン(月賦)よりリース契約の方が毎月の支払金額が抑えられ楽になりますが、盗難や事故を起こした時に問題が発生します。というのは、あくまでも所有権はリース会社にあるからです。全損事故を起こした場合や車を盗まれた場合は、新車をもう一台購入して、それをリース契約が満了した時にリース会社に返却しないといけません。事故があった場合には修理して元の状態にして返却しないといけないのです。リース契約を満了する際は、事故や傷、破損により査定価格が値下がりした場合は、その差額分をリース会社に支払わないといけません。そして、気が変わってもリースやローンは中途解約はできません。リースを延長する再リース契約はできます。

 

今回、京都市交通局は、通常のリース契約ではなく、京都市交通局が自己所有する車両を「セールアンドリースバック方式」という車両買上げリース契約という方式に、なぜ変更したのでしょうか?それは818台もある市バスを現金化して、資金繰りを良くしようとしているのだと思います。言い換えれば、カネに困っているという事です。リースバック契約なので、売却した車両代金が手元に入るという最大のメリットがあります。しかも、売却した車両は毎月低額のリース料金で使用できます。これは言うなれば、銀行からお金を借りるのではなく、市バス車両を担保にリース会社から融資(借入)を受けるようなものです。実際に銀行融資枠やローン枠に影響させずに資金が調達できます。資金繰りが悪い会社にとっては好都合なシステムなのです。

 

簡単に言えば、会社が銀行にこれ以上お金を借りられないので、工場の機械をリース会社に売ってお金を工面し、それを月々安いリース料金で使用するようなものです。厳密に言えば、コロナ禍のために京都市の財政が火の車になってきたので、もうこれ以上、京都市からは財政支援が受けられない。京都市交通局は自らが資金調達しないといけないという事態になっているというポーズのようにも見てとれます。

 

そう言えば、ネット広告で新型コロナウイルスの特別定額給付金の寄付のお願いという京都市の広告を何度か見た覚えがありますが、その広告費用の方が寄付金額より多ければ何の意味もありません。

 

この記事には「市バス車両を約18年使用していますが,この期間と比較して,借入金の返済期間が5年間と短く,毎年の費用負担が大きくなっています。」と書かれています。京都市交通局は、市バス車両を5年の公営企業債(地方債)を発行して買取りで購入しています。つまり、市民からの借金です。金融機関のお金は個人から集められた資金です。それを金融機関は融資したり運用(公社債や株式などを購入)したりして儲けているわけです。もちろん、個人でも国債や地方債などを購入できます。社会主義の日本がお得意とする国民が貯めたお金を吸い上げるシステムです。

 

このブログで何度か書いていますが、民間のバス会社や運送会社などは、車両を買取りにしているところは極めて少ないと思います。なぜなら、大型バスや大型トラックは新車一台が二千万円以上します。少しでも資金繰りを良くするために、毎月の会計処理が経費扱いになるリース契約にしているはずです。そうすれば、車両にかかる重量税等の税金も車両の所有者であるリース会社負担になり、毎月のリース料金もローン(月賦)より安く、節税対策にもなります。

 

しかし、このセールアンドリースバック方式を調べてみるとデメリットもあります。良い事ばかりではありません。リース料金が相場より高く、リース期間によっては支払い総額が高くなり、所有権を移転する場合は、買戻し金額が売却額より高くなるようです。つまり、何かの事情でリース物件となった市バスを買戻したい時は売った値段より高い金額で買取らなければならないということです。そして、自宅を売却するリースバック方式と同じで、市バス車両の買値は安いはずです。決して相場より高い値段では物件を買いません。なぜなら、買主が儲からないからです。

 

これまで京都市交通局のサイトで公開資料を色々と調べてきましたが、バス車両を買取っているのか、リース契約しているのかわかりませんでした。これではっきりしました。恐ろしい財務体質です。人件費も含めて、経費削減の金銭感覚がまったくありません。長年赤字が続くのは当然です。なぜ、今まで役所は気付かないのでしょうか?コロナ禍で初めて危機感を味わって焦ってきたのだと思います。そうでなければ、もっと昔からリース契約で市バス車両を購入していたはずです。京都市交通局は、800台以上もある市バス車両をすべて買取っていたとは、開いた口が塞がらないです。「親方日の丸」という経営環境は恐ろしいです。困った時には、空(日本政府)からお金が降ってきます。そのためお金を使いたい放題し、税金を無駄遣いするのです。経費削減や節約という発想はまったくありません。お金が足りなくなったら、市長や府長がお上(日本政府)に頼みに行けばいいのです。しかし、日本はそんな時代がもう長くは続かないと思います。労働生産人口の激減で税収入(歳入)が大幅に減少して行くからです。

 

京都市交通局が市バス車両を買取る理由のもうひとつは、民間バス会社への運行委託契約が関係していると思います。リース契約やセールアンドリースバック契約は、あくまでも市バスの所有権はリース会社やリアライズコーポレーションにあるのです。リース物件である市バスを第三者に貸し出す行為は又貸し、つまり転リースと言います。不動産でも建物をリースで借りている人が第三者に又貸しする「転貸借契約」民法612条があります。この契約は民法上の制限があり、自由に第三者と契約を締結できないのです。つまり、京都市交通局が勝手に民間バス会社と運行委託契約を交わせないのです。民法612条には「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、賃借物を転貸することができない」と書かれています。つまり、リース会社やリアライズコーポレーションの承諾なしに転貸借契約は禁止されているのです。市バスの運行委託契約自体がサブリースのような契約ですので、市バス車両が原因での事故(車両火災など)が起きた場合に責任の所在が問題となります。だから京都市交通局は、車両のメンテンナンスも含めた運転手の派遣と路線運行をセットにしているのです。しかし、これは本来の旅客運送事業ではありません。なぜなら、運転手は別の会社の人間だからです。

 

ひとつ注意しないといけないことは、もし株式会社リアライズコーポレーションが倒産した場合、市バス車両は差押えられます。市バス車両は、京都市交通局のものではなく、あくまでも株式会社リアライズコーポレーションの所有物です。

 

そして、この契約話は今年の4月に決まったということですが、少なくともその数ヶ月前にどこから案件化したのかということも気になります。これは推測ですが、門川市長は元京都市教育委員会教育長、その前の桝本前市長も同じ出身。現在の京都府長も元官僚(国土交通省)、前府長も元官僚(総務省)その前も元官僚です。京都市交通局のことなので、京都府は直接関係ないように見えますが、そんなことはありません。親分子分の関係です。つまり、首長は元役人がなるという社会主義の政治構造になっているのです。ということは、省庁関係からの案件紹介(政府からのトップダウン商談)があった可能性があります。ちなみに、株式会社リアライズコーポレーションの社長は金融庁の6月のセミナーで講演しています。人脈がなければ出来ないことだと思います。それにしても、京都の市長も府長も歴代、元役人です。官僚が統治するような古代中国の漢民族の郡県制では民主主義政治の改革などできないと思います。改革ができなければ、今の日本と同じで、どんどん落ちぶれて世界から置き去りにされ、時代遅れになっていきます。

 

また、この会社は社歴が長いとは言えません。株主に大手リース会社がありません。通常、リース会社を設立することは難しくありませんが、必ず信用保証するためにバックに大手リース会社や信販会社がいるはずです。所謂、資金源です。その部分が不透明です。そして、何よりこの会社が投資ファンド会社であることです。資金調達先がどこなのか気になります。ブラックマネーが流入していないければ良いのですが、お上(政府)からの紹介案件なので、京都市交通局も断れない契約(権力商談:利権)なのでしょう。

 

いずれにせよ、京都市交通局は姑息な手段ではなく、もっと抜本的に事業をリストラしないと長続きしないと思います。ちなみに大阪市営バスは民営化して、赤字路線や採算性の低い路線をすべて廃止し、約960台保有していた車両数を民間バス会社並みの541台にまで半減させています。大いに見習うべきです。

 

私のブログが、京都市交通局のご参考になれば幸いと存じます。