京都市交通局が作成し配布している「地下鉄・バスなび」というマップがあります。
https://www.city.kyoto.lg.jp/kotsu/cmsfiles/contents/0000019/19770/JPN2020(MAP)0300.pdf
但し書きに「このマップは、観光地を結ぶ主な市バス路線を抜粋して掲載しています。」と書かれています。しかし、京都市内は観光地だらけなので、実際に運行している市バスの路線を省くのは、おかしいと思います。
立命館大学の衣笠キャンパスは、仁和寺、金閣寺、特に龍安寺が近く、言い換えれば、立命館大学を発着、もしくは通過する市バスは観光地にアクセスできる路線バスなのです。それにもかかわらず、京都市交通局の「地下鉄・バスなび」というマップには、蘆山寺通を走る15系統、52号系統、55号系統、M1号系統などが掲載されていません。京都市交通局にとって都合がいいように作成されているようにしか思えないのです。
つまり、いかにも「蘆山寺通」を通行する市バスが少ないように見せかけているのです。「地下鉄・バスなび」には、12号系統、50号系統、59号系統、急行102号系統しか通行していないように見えますが、実際は昔から通行している15系統、52号系統、55号系統、M1号系統もあり、二倍の運行数です。
そのために「蘆山寺通」を過剰運行する路線バスの騒音と振動、排気ガス(CO2)が激しく、道路が傷んでいくのです。このマップを何も知らない人が見れば「蘆山寺通」は特に何も問題がない道路だと思います。これが京都市交通局の狙いなのです。
もっと言えば、「馬代通」「小松原通」がマップに明記されていません。なぜでしょうか?「京都マラソン」のコースになっている道路だからでしょうか。
京都市内には、学生数が数万人のマンモス大学がいくつかあります。その中で交通アクセスが少ない大学の利便性を高める交通手段としては、路線バスしかありません。調べてみると、京都産業大学と立命館大学がそれに該当します。※実際は、立命館大学は交通アクセスは悪くない。京都駅から遠いだけです。
まず、京都産業大学が終点のバスは、民営の京都バスの30系統(コロナ禍運休中)、32系統(3本)、34系統(3本)、快速35系統(コロナ禍運休中)、36系統(コロナ禍運休中)、40系統(35本)、特40系統(6本)です。京都市バスは北3系統(82本)だけです。
次に、立命館大学は京都市バスがほとんどで12号系統(69本)、15系統(37本)、50号系統(73本)、51号系統(82本)、52号系統(9本)、55号系統(34本)、59号系統(69本)、快速立命館(30本)、立命館ダイレクト(2本)、M1号系統(31本)とこんなにたくさんあります。さらに西日本JRバスの高雄京北線が二系統(97本)もあります。合計すると恐ろしい数(436本)です。
そんなに立命館大学の学生数は多いのでしょうか?
平成22年10月18日の立命館大学衣笠キャンパスへの交通アクセス改善プロジェクトの資料によると「立命館大学衣笠キャンパスには、現在約18000人の学生が在学し、教職員については約1300人が勤務」とあります。京都産業大学より5000人程多いだけです。むしろ、京都産業大学の方が不便な場所にあり、メインストリートの北大路(地下鉄北大路駅)から十数キロもあり、歩いて行くのは無理です。
立命館大学は、西大路通から歩いて10分ぐらいの距離です。西大路通には、いくらでも市バスが走っています。わざわざ立命館大学を発着にしなくても、北大路から西大路の大通りを走る既存の循環路線だけ充分なのです。にもかかわらず、立命館大学行きのバスの便数は、京都産業大学行きのバスの便数の三倍以上です。何か変です。裏に何かあると思います。これは立命館大学の政治ロビー活動による政治バス路線なのです。
京都市交通局は、立命館大学にアクセスする市バスの系統を増やせば、それだけ乗車人数を増やせる(増収・増客)という発想で物事を考えていると思います。しかし、それは費用対効果を全く考慮していません。路線バスでは1万人以上の学生数には対応できないのです。鉄道でないと大量輸送は無理です。
京都市営バスは公営企業(=役所)だから、採算度返しでこのようなことができるのでしょう。つまり、赤字でも運営できるのです。民間バス会社であれば、不採算路線はすぐ廃止します。コロナ禍で京都バスは京都産業大学行きの路線バスを何本か運休しています。京都産業大学へのアクセスも、乗車率が高い北3系統(なぜか赤字路線)を京都市バスは絶対に民間に委託しません。乗車率が非常に低い路線を京都バスに任せているのです。
なぜ、京都市交通局は立命館大学をまるで贔屓するかのように、これだけの市バスを運行するのでしょうか?これについては、以前のブログで書きました。 これからも書きます。
https://ilnyc.hatenablog.jp/entry/2020/06/29/224933
ちなみに、現在のコロナ禍で立命館大には学生はいません。オンライン授業で通学していません。 市バスは走れば走るほど赤字が増えるのです。しかし、減便も運休もしません。なぜでしょうか?龍安寺も仁和寺も観光客はいません。何か変です。民間バス会社である京都バスは、京都産業大学行きのバスを運休しています。
京都市内にこれだけの大学の数がなければ、おそらく京都市交通局は財政が逼迫して、大阪市営バスのようになっています。むしろ、もう既に同じ状況になっているのに、経営状態を隠しているのです。
何度も書きますが、市民のための公共サービスが、いつのまにか売上ばかりを追い求める公営企業(=役所)に変わり、沿線住民の事よりも大学や観光を中心にした経営計画になってしまったのです。
本来、地方自治体は観光客よりも地域住民、市民の生活の方が大事なのです。観光客や学生は一時的なもの、時間が経てばいなくなります。でも、地域住民は何があっても、そこにいます。嫌なことがあっても、嫌なことをされても、逃げられないのです。
しかし、日本政府も京都市も観光を重視します。それは、人口減少多死社会において、国内外、特に海外の中国や韓国からの観光客が日本に莫大なお金を落としていってくれる事に依存しないと経済が回らなくなっているからです。観光客を当てにした国はいずれ衰退します。ギリシャやスペイン、イタリアなどを見ればよくわかります。衰退しているのです。産業が消えて行っているのです。その証拠にすごい失業率です。